ウマ娘プリティーダービーとかいうレースで傍観しかできない育成ゲーム
ウマ娘プリティーダービー、やってますか?
このゲームは育成ゲームと呼ばれるジャンルで、5つのステータスを割り振り各キャラクターに設定された目標レースを攻略していくのが目的だ。
キャラクターによって距離適性に合わせ育成方針を変える必要があり、試行回数と経験を積めば積むほど「この距離ならこのスタミナで足りそうやな…」「速度足りなさそうだけどスキルで補えるな…」など感覚でステータスを割り振る必要がある。
加えて失敗率、得意トレーニング配置率、ヒント発生率、ヒントレベル、イベント発生率などなど全体的に運の要素が大きい造りになっている。
数ターンごとにレースが用意されており、指定順位以上で入着できなければゲームオーバー、強制的に育成終了となる。
勝たなければいけない要素でありながらレース中にはプレイヤーがゲームに介入することが出来ず、見届ける事しかできない、悪く言えば「運ゲー」である。
このゲームのランダム要素として主に
(読まなくていい)
レース外
「ステ上昇イベント発生の有無」
「デメリットイベントの有無」
「ステータスの上昇値」
「必要スキル取得ポイントの上下」
「スキル取得イベント発生の有無」
レース内
「出遅れ、かかり発生の有無」
「スキル発動の有無」
「周りを囲まれるかどうか」
「天候」
「出走ゲートの番号」
「相手スキルの発生の有無」
とまあ運ゲーに運ゲーを重ねている、しかし事故らない限り慣れと経験である程度安定して完走することが可能だ
しかし断言しよう、確実に勝てる方法は存在しない
レースの全てがランダム要素で構成されているので、運悪く馬群にブロックされたり、相手のデバフの効果を受けて失速したり、出遅れて先頭集団に揉まれスタミナを消費した結果入賞を逃し敗北、なんてことも起こりうるのだ。
上記のような状況が発生するのもランダム要素なので、逆にいうと相手も同じような状況に陥る可能性があるので格上相手に勝つ可能性も0ではないと言える。
ずばりこのゲームの本質は「人事を尽くして天命を待つ」ゲームであり、レースで実力を発揮できるか、うまく立ち回れるか、運が良いかなどの勝敗に関わる要素の全権を、勝利を「ウマ娘に託す」ゲームである。
プレイヤーはウマ娘に合わせた前準備こそ出来るが、肝心のレース本番では直接関与することを許されない、画面の前で応援するしかないのである。
これは現実におけるコーチングでも同じ事が言える、指導しても結局走るのは本人であり、プレイヤーがトレーナーである以上レースに関与できないのは当然だと言える。
一見してゲーム性が皆無な様に見えるが、「見守る事しかできない」ゲームシステムこそが徹底的なトレーナーのロールプレイ、プレイヤーとウマ娘の完全な区別化を実現させている
そこに多くのランダム性によって生み出された唯一無二のレース展開が加わると結果としてプレイヤーが勝手にドラマを作り、深く感情移入し、ウマ娘達の心を、人間味を、言語化不能なリアリティを優良誤認するのだ、それ故に全力で走る彼女たちに我々は熱くならざるを得ないのである。
総括
ウマ娘に託すことしか出来ないゲームシステムはこの作品にリアリティをもたらしている、ゲームシステムとしてはかなり尖っているが、二次元のキャラクターに感情、人格、現実味、自己を纏わせる手法としてはこの上なく効果的であり、それらを意図的に行なっているCygamesの人心掌握術に恐れを覚える。
ある意味育成ゲームの境地であり、「応援するしかない」事がここまで多くの人を惹きつけ、感情を動かす理由なのかもしれない。
ウマ娘プリティダービーは、意図的にゲーム性を抜くことでウマ娘達に言語化できないリアリティを生み出している育成ゲームなのである。